慢性肺疾患(CLD)児のエネルギー消費量はCLD非合併児に比べて、増加すると考えられているが、人工換気や酸素投与を行なっている児のエネルギー消費量を測定するのは技術的に困難とされ、酸素投与が中止できている症例を対象とした報告が多かった。われわれは新生児用エネルギー消費量測定装置MGM/Jr.を用いて極低出生体重児の酸素消費量、二酸化炭素排泄量、エネルギー消費量を測定した。これの結果によると、人工換気中のCLD児4例(平均在胎25.2週、出生体重806g)の酸素消費量は9.1ml/kg/min、二酸化炭素排泄量は10.9ml/kg/min、エネルギー消費量は70.0kcal/kg/dayであった。CLD非合併児5例(平均在胎27.9週、出生体重1026g)の酸素消費量は8.5ml/kg/min、エネルギー消費量は63.0kcal/kg/dayであり、酸素消費量、エネルギー消費量はCLD児で増加していることが確かめられた。これらのCLD児のエネルギー摂取量は80.0kcal/kg/dayであり、対照のCLD非合併児(95.8kcal/kg/day)に比べ減少しており、これもCLD児の低栄養の原因の一つと思われた。 現在、十二指腸液の採取、および十二指腸中の膵リパーゼ活性とトリプシン活性は、体重のやや大きめの児で検討中であるが、まだ一定の傾向を持った結果は得られていない。また、あわせてCLD児の脂肪吸収能の検討のために対象例の胆汁酸濃度や便中の脂肪滴の有無も検討している。
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