研究概要 |
未熟児の動脈管開存症の原因は動脈管の未熟性である。私達は平成9年度の本研究でビタミンAの動脈管成熟作用を解明した。先ずビタミンAの臨床量(1mg/Kg)を妊娠後期(19日,20日,満期=21.5日)にWistarラットに筋肉内注射で投与すると,満期(21日)にインドメサシン(1mg/kg,胃内投与,4時間後)の胎仔動脈管収縮作用が有意に増加した。すなわち,インドメサシン単独では動脈管内径比が収縮前の100%から54%(動脈管/主肺動脈の内径比)になったのに対し,ビタミンAを前に2日投与した場合にはインドメサシンにより動脈管の一層強い収縮を生じ,内径比が27%になった。このビタミンAの動脈管収縮性増加効果は20日の1回投与でも認められた。またこの効果は19日にビタミンAを投与した20日の動脈管(即ち,満期前の未熟な動脈管)にも認められた。この研究は世界で初めてビタミンAの動脈管成熟促進作用を証明した。
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