研究概要 |
1.研究目的:小腸移植における拒絶反応の軽減のため,レシピエント絹胞の共存するグラフトを移植することで,グラフト生着延長が得られるか否かを検討する。 2.新たに得られた知見等の成果:純系ラットBNからLEWで,ドナーに放射線照射(TBI)またはレシピエント骨髄移植(BM)の後に,全同所性小腸移植を行い,生着日数を検討した。 (1)無処置群:生着日数(生存日数)は12〜67日(中央値20日)で7匹中2匹が移植後8〜9日目に一次的なGVHDを示し,他の5匹より長期生存したが,いずれも拒絶反応により死亡した。 (2)TBI群:生着日数は11〜25日(中央値12日)とむしろ短縮し拒絶反応により死亡した。しかし,全例致死的GVHDは発症しなかった。 (3)BM群:生着日数は9〜32日(中央値15.5日)であった。 これらの結果から,ドナーTBIで,GVHD発症を抑制可能であるが,ドナーTBI単独あるいはBM単独では,グラフトの抗原性は低下せず,生着延長は得られないと考えられた。 3.今後の予定,及び課題:現在TBI+BM群につき,生存日数を検討中である。さらに,PCR法によるmicro cell chimerismの程度および強さの検索,さらに免疫学的染色を併用した組織学的検索で,その機序を解明する計画である。
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