1.鎖肛ブタ家系の維持 鎖肛ブタ同志の交配により高頻度に鎖肛を得ることができた。特にオスの鎖肛は、出生直後に死亡するため緊急手術により救命した。9年度は成獣が殖えファームの不足からオス鎖肛3頭に手術を施行救命した。メス鎖肛は9年度は6頭を選び生育させている。これらは10年度には十分な繁殖能力を持つことになる。 2.比較遺伝子マップの作成 一昨年ヒト・ブタの大まかな物理的な比較遺伝子地図が報告されたが、遺伝子地図の裏付けはまだ不完全である。ここで申請者はPiGMaPグループの一員として最近、主として機能を有する遺伝子(O'Brienの提唱するタイプIマーカー)を中心とした遺伝子地図の作製に加わりさらに精密な比較遺伝子地図作成を試みた。この結果ブタの小腸から得られたcDNAを元に検討した結果、新たに20のヒトブタ比較遺伝子マップに役立つマーカーが得られた。 3.私たちのグループは鎖肛ブタの遺伝子解析にむけて、離れた系であるメイシャンブタを導入して純系に近い鎖肛ブタとの人工授精に成功し遺伝子解析な3世代のブタの材料を得た。従来の鎖肛同志の近親交配により生じたブタ検体とともに、F1を鎖肛ブタに交配する(バッククロス交配)によるF2の検体をえた。9年度中にはこの交配により、分娩25回で243頭の新生仔中23頭の鎖肛ブタを得ることができた。現在この検体を用いてスウェーデンのウプサラバイオメディカルセンター アンダション教授の協力の下に遺伝子解析中である。
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