研究課題/領域番号 |
09671211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田代 亜彦 千葉大学, 医学部, 助教授 (70143310)
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研究分担者 |
高木 一也 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (80251164)
山森 秀夫 千葉大学, 医学部, 講師 (00166836)
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キーワード | 静注用脂肪乳剤 / EPA / DHA / 魚油静注用脂肪乳剤 / サイトカイン / 侵襲反応 / 多臓器不全 / 腸管translocation |
研究概要 |
(1)ベニバナ油及び魚油を用いた静注用脂肪乳剤を調整し、またをEPA、DHAのみ含む対称トリグリセリド(EPA:DHA=2:1)より成る静注用脂肪乳剤を試作してラットに安全に投与し得ること、投与量に応じた脂酸構成を得ることを確認した。 (2)魚油またはEPA/DHA脂肪乳剤で総投与カロリーの1%を投与することにより、ラットの脂酸構成を正常に保つことが出来た。 (3)リノール酸がほとんどでn-3系多価不飽和脂肪酸を含まないベニバナ油脂肪乳剤を熱傷ラットに投与したとき、蛋白代謝が悪化し、TNFα、IL-6、IL-8、IL-10など侵襲反応・炎症反応に関するcytokineが有意に上昇すること。これにDPA/DHA脂肪乳剤をわずか1%添加することによりこれらが全て改善され、また熱傷による免疫抑制も防がれること。 (4)ベニバナ油と魚油の投与率を変化させて熱傷による免疫抑制におよぼす影響をみると、魚油の比率が高いほど免疫抑制が抑えられた。 (5)ベニバナ油と魚油の投与率を変化させて熱傷による腸管のtranslocationに及ぼす影響をみると、魚油の比率が高いほど腸管のtranslocationが抑えられた。 (6)食道癌手術直後のIL-6などのcytokineは動物実験と同じくEPAの投与により有意に低下し、侵襲に伴う免疫抑制も有意に改善された。また食道癌の照射・化学療法中の免疫抑制がEPA投与で有意に改善された。 などを確認し、国内・国外で発表し注目されている。これらの基礎的・臨床的成績からn-3系多価不飽和脂肪酸が重症患者のhypercytokinemiaを抑え、免疫能を賦活して患者の重症化を防ぎ、臓器障害から多臓器不全に進行するのを防ぐのに有用であることは確実である。現在N-3系PUFAが免疫担当細胞のサイトカイン産生やプライミングに及ぼす効果をみる実験を開始したところである。
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