研究概要 |
側副血行の発達には血管内皮細胞(EC),血管平滑筋細胞(SMC)の二つの細胞が重要な働きをしていることが知られている.現在までにわれわれは,shear stress下のECと血小板のinteractionがSMCの遊走に与える影響を解析するため,独自のin vitroモデルを作成し,shear stress下のECが単独でSMC遊走を促進し,血小板はその遊走をさらに増強することを報告してきた.一方,shear stress下の赤血球はADPを介して血小板凝集を促進するとされていたが,MCDB151培養液に健常人から採取した洗浄赤血球100万/μl(RB),血小板5万/μl(PL),その両者(RBPL)を加えた3種類の培養液を調節し,それぞれの培養液を用いて,末梢血管吻合部に相当する高度shear stress下にECを培養したところ,RBPLの遊走距離はRBに比して有意に長く,PLとは,有意差はみられなかった.RBは静止下にRBと同様な培養液を用いてECを培養したControlに比して,遊走距離が長い傾向のみがみられた 側副血行の発達や吻合部内膜肥厚には血小板を介したSMC遊走が強く関与しており,赤血球の凝集や破壊に伴う影響は軽度であると考えられた.
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