研究概要 |
側副血行の発達には血管内皮細胞や血管平滑筋細胞のほかに血中にある赤血球,白血球,血小板といった細胞成分,ずり応力といった物理的な作用が複雑に関与していることが知られている.現在までに筆者らは血管平滑筋細胞遊走能を任意の双方向性のずり応力下で測定するin vitroモデル作成を行っている.本研究では側副血行発達の一段階である血管平滑筋細胞遊走能パラメータとして生体内の複雑な先述の因子がが側副血行発達に与える影響を検討した. 本研究では血管平滑筋細胞の遊走能,すなわち側副血行の発達にはずり応力で刺激された血管内皮細胞,血管内皮細胞と血小板の相互間連作用が強く影響していることが示された,また,モノクローナル抗体,特異的受容体拮抗剤の投与による血管平滑筋遊走の抑制効果から,これら側副血行発達は,PDGF及びIL-1を介したものである可能性が併せて示された.ただし,PDGF以外の成長因子やその他のサイトカイン,成長因子とサイトカインの相互の関係に関しては今後の更なる検討が必要であると考えられた.
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