研究概要 |
高純度NKの増殖法は計画書に示した以外に基礎的研究の材料としても有用である。 固相化CD3刺激による大量培養でしばしばNKが増殖した。機序について検討した。健常人PBLを固相化OKT3(マウスIgG2a)上で培養すると大量のNKが粘着した。FCSを用いると全く活性化(CD25発現)が起こらず,AB血清(フィルター濾過)では過半が活性化した。FCSにヒトIgG製剤(7s成分96%)を血清相当に添加すると同様の活性化が起こったことから,血清中のIgGを介したCD16の架橋による活性化であることが示唆された。IgG単独であらかじめ固相化するばあい極めて微量で同等の効果が得られた。この方法について検討した。 【1】固相化IgG(iIgG)へのNKの粘着:iIgG密度/刺激時間依存性で,2.5hで最強であり,3hから自然剥離が始まり6hで大部分が剥離した。2.5h以内の非粘着細胞の除去によりNKのpositive selectionができた(ここまでを初期刺激と呼ぶ)。【2】NKの細胞萎縮:初期刺激時のMo依存性に細胞萎縮が大量に起こった。FCS/Albumin/ABsの比較では後2者で強力であった。可溶性因子の不足やallo抗体によるADCCなどに注目する必要がある。以下FCSを用いた。CD16架橋による活性化では,増殖とactivation induced deathの経路が知られている。初期刺激時間に反比例する細胞萎縮が起こった。2.5hのT細胞の共存が必要と考えられた。【3】活性化:iIgG密度/初期刺激時間依存性にCD16喪失が起こり活性化の必要条件であった。活性化には,さらに,濃度依存性にIL2が必要であった。【4】Cluster形成:活性化NKは刺激開始20h前後から残存Moの周囲にclusterを形成し,その中でblast化が起こった。T細胞の共存はcluster形成を促進したがNKの活性化は促進しなかった。暫定的にはT細胞の共存は2.5hが必要十分と考えられた。【5】活性化NKとMoの強い相互作用を認めた。IFN-γを介するIL12/NO産生の両面がありえ,Mo共存の意義について検討中である。
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