(1)HLA-B35特異的アロCTLクローンの樹立 ドナーがHLA-B35を持ち、レシピエントがHLA-B51を持つ腎移植患者で、すでに移植腎が拒絶された患者の末梢血より、HLA-B35特異的アロCTLクローンを樹立するために、腎移植患者のドナー、レシピエントの組み合わせを検索した。300例の症例のうち、3例に、この組み合わせが認められた。このうち1例のレシピエントの末梢血より、HLA-B35特異的アロCTLクローンの樹立を試みたが、うまくいかなかった。これは、免疫抑制剤投与による、CTLの前駆細胞の減少が原因と思われた。残りの2例よりCTLクローンの樹立を試みたが、樹立できなかった。 (2)9アミノ酸残基のoverlapping peptidesの作成(別宮) トランスジェニックマウス間の心移植で免疫抑制作用を有するα2ドメイン由来のペプチド(CDLGPDGRLLRGHDQSAYDGKDYIA)のアミノ酸配列から、over lapping peptidesを17種類作成した。 これらのペプチドの免疫抑制効果をマウス心移植で判定したが、どのペプチドも抑制効果がなかった。 (3)トランスジェニックマウス間の心移植では、移入したHLA分子は、アロ抗原として認識された。また、その拒絶反応の場合には、T細胞による細胞性免疫が主に働いていることが判明した。
|