研究概要 |
今年度申請者らは1)臨床例の高度侵襲手術群におけるサイトカインの変動、2)敗血症モデルにおける好中球枯渇療法の基礎的検討を行った。 1)【対象】開胸を伴う食道癌手術例【方法】術前methylprednisolon(250mg)投与群、非投与群に分け、術前、術直後、術後6時間、12時間、1日、3日、7日、14日未梢血中の1L-1β,1L-6,1L-8,1L-10,1L-12,TNF-αを測定した。【結果及び検討】非投与群では1L-6,1L-8,1L-10の過剰産生が確認され、また術後合併症が認められた症例でその傾向が著明であった。投与群ではサイトカインの過剰産生はみとめられなかった。 2)【対象】9週齢のF344ラット♂【方法】ジエチルエーテル麻酔下に開腹し盲腸を結紮、穿刺し敗血症モデルとし、処置後24時間、72時間、120時間で尾から末梢血を採取し、白血球数、白血球分画、好中球貧食能及び活性酸素酸性能を測定した。また、処置前、処置後8時間、24時間で、好中球枯渇抗体RP3を腹腔内投与した群に対しても同様に検討した。 【結果及び検討】処置後96時間で80%が死亡し、処置後24時間の末梢血中の白血球数は減少したが好中球数は増加し、好中球機能も亢進した。RP3を投与した群は好中球数、機能とも低下し、生存率は低下し生存期間も短縮した。これにより感染初期の好中球の有用性が確認された。 【結語】今後申請者らは担癌患者を対象に担癌時期別及び手術侵襲度別に末消血好中球数及び活性、各種サイトカインを測定しSIRSの概念で再評価する所存である。また敗血症モデルにおいては炎症性サイトカインの動態、担癌状態との合併モデルに関して検討を加える所存である。
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