研究課題/領域番号 |
09671222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 昌裕 名古屋大学, 医学部, 助手 (70273240)
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研究分担者 |
錦見 尚道 名古屋大学, 医学部, 講師 (40242862)
桜井 恒久 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50144142)
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キーワード | イオントフォレシス法 / プロスタグランディンE_1 / 重症虚血肢 |
研究概要 |
慢性閉塞性動脈疾患の治療に、プロスタグランディンE_1(以下PGE_1)製剤は広く使われてきた。PGE_1を副作用なく高濃度に局所投与する方法としてイオントフォレシス法を応用することが本研究の目的である。本年度は基礎的検討を行った。(1)PGE_1がイオントフォレシスによって膜を透過することを確認するためin vitro透過実験を行った。拡散セルの2個のチャンバーの間に拡散膜としてヘアレスマウス(7ー8w、28-35g)の皮膚を装着し、Ag電極(+)側チャンバーに生理食塩水をAgCl電極(-)側チャンバーにPGE_1水溶液(100μg/ml)を充填した。電圧6v、通電時間3時間の条件下で、生理食塩水中に透過されたPGE_1濃度を経時的にHPLCで測定した。電圧を負荷しないコントロールではリザーバー側への膜透過は見られなかったが、イオントフォレシスでは能動的なPGE_1の膜透過が確認された。(2)生体への応用としてヘアレスマウスを用い、脱分極型イオントフォレシス(イオントフォレシス ADIS-4030:久光製薬)を使用した動物実験を行った。薬物投与のためのリザーバーには、それぞれにAg電極(+)とAgC1電極(-)を装着したパットを作製した。Ag電極(+)の不織布に生理食塩水0.4mlを、AgC1電極(-)の不織布にPGE_1(20μg/ml)水溶液0.4mlを浸漬しヘアレスマウス(n=5)の腹部に装着した後、1時間通電した。その結果、いずれのマウスにも発赤、熱傷などの皮膚障害が観察されなかった。(3)健康成人5人に対して同様の条件のイオントフォレシスでPGE_1(20μg/ml)水溶液を1時間投与した。いずれも副作用は見られなかった。以上の結果より慢性閉塞性動脈疾患患者に対するPGE_1のイオントフォレシス法による投与の臨床応用が可能と考えられた。
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