研究課題/領域番号 |
09671222
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 昌裕 名古屋大学, 医学部, 助手 (70273240)
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研究分担者 |
錦見 尚道 名古屋大学, 医学部, 講師 (40242862)
桜井 恒久 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50144142)
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キーワード | イオントフォレシス法 / プロスタグランディンE1 / 重症虚血肢 |
研究概要 |
本年度は虚血性潰瘍を有する慢性動脈閉塞症の患者に対して、潰瘍の治療目的でイオントフォレシス法によるPGE1投与を行った。患者9例9肢(Buerger病6例、閉塞性動脈硬化症3例)を対象とした。脱分極型イオントフォレシス(イオントフォレシスADIS-4030:久光製薬)を使用し、PGE1投与のためのリザーバーには、それぞれにAg電極(+)とAgCl電極(-)を装着したパットを使用した。Ag電極(+)の不織布に生理食塩水0.4mlを、AgCl電極(-)の不織布にPGE1(20μg/ml)水溶液0.4mlを浸漬し、患肢の足部に貼付した。患者を15分間の臥位安静としたのち電圧10V、電流の上限は0.5mAに設定し、60分間通電した。レーザドプラ血流計により皮膚血流量(laser Doppler flowmetry:LDF)を測定した。この方法でイオントフォレシス法を1日1回、2週間以上に渡って施行し疼痛の改善度、潰瘍の治癒で効果を判定した。この結果、虚血性潰瘍患者9例のうち、Buerger病患者3例、閉塞性動脈硬化症患者1例で潰瘍の改善がみられた。イオントフォレシスによる重篤な合併症はまったくみられなかった。これらのイオントフォレシス法が有効であった症例の皮膚血流増加率は1.88倍から2.85倍と高く、一方、無効例では1.09から1.23倍とほとんど上昇はみられなかった。以上の点より、イオントフォレシス法によるPGE1投与法は、従来の投与法より副作用が少なく、効果が高い、きわめて有用な投与法であると考えられる。しかし、イオントフォレシス法によって皮膚血流の増加がみられなかった例では治療効果が認められず、イオントフォレシス法によっても他の投与法と同様に治療効果には限界があるものと思われる。
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