研究課題/領域番号 |
09671222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 昌裕 名古屋大学, 医学部, 助手 (70273240)
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研究分担者 |
錦見 尚道 名古屋大学, 医学部, 講師 (40242862)
桜井 恒久 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50144142)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | イオントフォレシス法 / プロスタグランディンE_1 / 重症虚血肢 |
研究概要 |
プロスタグランディンE_1(以下PGE_1)は閉塞性動脈硬化症、バージャー病などの慢性閉塞性動脈疾患の薬物療法に使用されてきた。しかし、動脈注射は侵襲的であり、経口投与や静脈注射では局所的な薬物濃度が低い一方、全身的副作用の発現頻度が高いといった欠点があった。イオントフォレシス法は、電気泳動の原理を応用し、イオン性薬物を能動的に吸収させる経皮的投与法である。イオントフォレシス法を慢性閉塞性動脈疾患に対するPGE_1の投与に応用した。まず、hairless mouseの皮膚を用いたin vitro実験を施行し、イオントフォレシスによるPGE_1の皮膚透過を確認した。続いて、成人ボランティアの協力を得て、イオントフォレシスによる皮膚障害がないことを確認した。その後、閉塞性動脈硬化症の男性患者19名を対象とした臨床的検討を行った。レーザードプラで皮膚血流を測定し、指標とした。その結果、イオントフォレシス法によるPGE_1投与で対照の生理食塩水と比較し、有意に皮膚血流量が増加した。対象を重症度で分類すると、間欠性跛行肢と重症虚血肢で皮膚血流の増加率は同等であった。イオントフォレシス法を点滴静注法と比較すると、PGE_1による皮膚血流増加率はイオントフォレシス法で有意に高率であった。続いて、虚血性潰瘍患者9例(バージャー病6例、閉塞性動脈硬化症3例)に対し、潰瘍の治療目的でイオントフォレシス法によるPGE_1投与を行った。その結果、4例で潰瘍の改善がみられた。イオントフォレシス法が有効であった症例の皮膚血流増加率は無効例に比べ有意に高率であった。以上より、この方法によって、PGE_1が無侵襲的に虚血肢の患部に直接投与され、患部の皮膚血流が有意に増加していることが証明された。また、下肢の虚血性潰瘍の治療に応用され、効果をみることができた。
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