研究課題/領域番号 |
09671225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿曽沼 克弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (40202626)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252449)
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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キーワード | 生体肝移植 / 劇症肝不全 / 肝性脳症 / 脳波周波数分析 |
研究概要 |
肝性脳症を伴った劇症肝不全にて肝移植を必要とした症例について、術前及び術後に脳機能トレンドモニタを用いて、脳波の周波数分析をおこなった。このモニタは、一定の時間内に得られた.脳波の周波数を分析し、周波数別の脳波の分布をグラフで示すものである。無侵襲的に簡便に検査できる利点がある。一般的に意識状態が悪くなると、徐波の成分がふえるため、分析結果は、小さな周波数領域に高い値を示すグラフが得られることになる。この分析を10秒間隔で行い、約5分間について連続記録する事(グラフを重ね書きする)を数回くりかえした。 肝性脳症の程度は昏睡の3度から4度であった。年齢や昏睡の状態により個々の症例による相違はあったが、典型的な症例では、まず、当院に搬入された直後の昏睡のレベルが高い(意識状態の悪い)時は、2MHzに非常に高いピーク(このあたりの周波数の波が極端に多いことを示している)をもった低周波領域を中心とした分布を示したが、血漿交換によりやや意識レベルが改善すると、クラブ上、まだ低周波領域を中心とした分布を示すもの、2MHzのピークは低くなり、意識状態の改善を裏付けた。しかし、その後、約半日経過した後の移植直前には、再び意識レベルの低下に一致して、2MHzに非常に高いピークを示す入院時の分布にもどった。一方、肝移植を施行した後の術後2日目には意識レベルはほぼ正常にもどるとともに、周波数分析では、2MHzにピークのあった徐波の割合は減って、周波数全体にほぼ均等な波の分布がみられるようになった。以上のことより、昏睡の程度とグラフがよく相関している症例があることがわかった。今後症例を積み重ね、臨床症状との相関について更なる検討を行い、移植の時期の決定や予後の判定に役立てたい。
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