研究課題/領域番号 |
09671230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堂野 恵三 大阪大学, 医学部, 助手 (60283769)
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研究分担者 |
太田 博文 大阪大学, 医学・部附属病院, 医員
三好 秀幸 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
梅下 浩司 大阪大学, 医学部, 助手 (60252649)
左近 賢人 大阪大学, 医学部, 講師 (40170659)
後藤 満一 大阪大学, 医学部, 助教授 (50162160)
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キーワード | ラット心移植 / ラット肝移植 / ドナー抗原提示 / 免疫寛容 |
研究概要 |
平成9年度は、ドナー抗原提示後の肝内における免疫応答反応を解析する目的で、主にin vivioにおける移植片の生着を心移植を用いて検討した。 実験1 A群: アロ抗原を静注後24時間後にホストの肝を摘出したものを移植片とし同系のラットに移植した。9日目にさらに心移植を行った。 B群: アロ抗原を静注後24時間後にホストの肝を摘出廃棄し、同系のラットから採取した肝を移植した。9日目にさらに心移植を行った。 A群では、対照群(MST=11.6±1.5d)より有意に心移植片の生着日数が短縮された(MST=4.2±0.8d,p<.001)。B群では、有意に生着期間が延長した(MST=27.7±5.8d,p<.001)。すなわち、皮膚移植と同様に抗原投与後の肝を移入した場合はアロ抗原に対する免疫反応が増強され、肝を除去した場合には、減弱される結果であった。次に肝移入による免疫応答の修飾が、移入されたドナー脾細胞によるものか、又はそれに反応した肝の免疫応答細胞の移入によるものかを検討した。 実験2:実験1において、ドナー脾細胞に25Gyの放射線照射した上で移入し、24時間で肝を摘出、同系ラットに移植後、9日目に心移植を行った。心移植片の生着日数は、4.7±0.6日で放射線治療を行わない群と差がなかった。 実験3:実験1において、肝を摘出後に25Gy放射線照射を行い、移植肝に含まれる放射線感受性のある免疫応答細胞の活性を減弱させた上で肝移植を行い、9日目に心移植を行った。心移植片の生着日数は4.7±1.6日で同じく放射線照射を行わない群と差がなかった。 以上の結果より、我々の系においてA群では拒絶の促進効果、B群では拒絶の抑制効果が皮膚移植のみならず心移植でも観察されること、拒絶促進は放射線感受性のある細胞群によるものではないことが明らかとなった。平成10年度はさらに肝内の免疫担当細胞の詳細な分析と心移植宿主の免疫応答性の変化の解析を行う予定である。
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