研究概要 |
SD雌ラットに対する7,12-DMBA誘発乳癌モデルでは、経時的に腫瘍細胞のestrogen依存性が低下することが観察される。乳腺上皮細胞ではapoptosisにより細胞の分化、増殖が進むとされ、ホルモン依存性喪失機構にapoptosisが強く関与することが推察される。SDラットDMBA誘発乳癌モデル系のホルモン依存性喪失機構におけるapoptosis関与の仕組みを明らかにすることが本研究の目的である。今年度はapoptosisの抑制因子とされるbcl2遺伝子、およびapoptosisにdependentな系により作用を発現し得るとされるp53遺伝子の発現・消長とEstrogen Receptorの変化の関係を検討した。 1)腫瘍発生までのDMBA暴露乳腺の採取およびDMBA乳癌の採取 7週齢のSD雌ラットにDMBA(15+10mg/body)を投与後1週間から腫瘍発生時期の投与後10週まで1週毎にそれぞれ2匹犠牲死させ、乳腺組織を採取した。また、腫瘍触知後からDMBA投与後30週までの間、癌腫の大きさが非触知のもの,0.5cm,1.0cm,1.5cm,2.0cm,3.0cm,5.0cmのものを摘出採取した。 2)ER,P53,Bcl-2の局在及びアポトーシス細胞の検索 採取組織に対し、ERおよびP53,Bcl-2蛋白発現を免疫組織化学的に腫瘍細胞単位で検索し、その陽性細胞率を画像解析装置を用いて算出した。また、断片化したDNAを高感度に検出するApop Tag Kitを用いてapoptosis細胞を検出した。 結果、乳腺組織内におけるP53蛋白の発現やBcl2蛋白の有意な発現の変化はみられなかったが、腫瘍細胞内ではERの発現と明らかな相関をみた。またapoptosisの発現は乳腺組織に比べて腫瘍組織内で低く、かつ腫瘍の増大とともに低下した。
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