研究概要 |
(1) ブタ膵ラ島分離法の確立 コラゲナーゼ消化法、Ficoll非連続密度勾配遠心法によりブタ膵1g当たり平均1480.2個、純度80%以上の膵ラ島を分離することが可能であった。 (2) ブタ膵ランゲルハンス島に表現される異種抗原 ブタ-ヒト間異種臓器移植における超急性拒絶反応の主要異種抗原とされているαGal抗原がブタ膵ランゲルハンス島に表現されているかを検討。ブタ膵ランゲルハンス島浮遊液にFITC標識GSIB4レクチンを加え反応後、共焦点レーザー顕微鏡にてαGal抗原の発現をみたところ、膵外分泌細胞にはαGal抗原の発現がみられたが膵ランゲルハンス島にはαGal抗原の発現はみられなかった。 (3) ブタ膵ランゲルハンス島に接着するヒト異種自然抗体 ブタ膵ランゲルハンス島浮遊液にヒト血清を加えた後、FITC標識抗ヒト1gM,1gG抗体を加え共焦点レーザー顕微鏡にて自然抗体の反応性を観察。ヒト血清中にはブタ膵ランゲルハンス島に接着する異種自然抗体(Ig M,Ig G)が存在することが判明したが、その接着性は膵外分泌細胞に比べて弱いものであった。 以上よりブタ膵ランゲルハンス島には異種抗原の発現が弱く、ヒト血清中の異種自然抗体の接着性も弱いことより、ブタ-ヒト間膵ランゲルハンス島移植においては抗原抗体反応を介した超急性拒絶反応は惹起されない可能性が示唆された。
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