二種類のマイクロカプセルを用い、異種移植にて新生仔ブタラ島長期生着のために必要な膜特性をin vivoにて検討した。 (1)ラ島単離方法;ドナーとて、新生仔ブタ膵より、Korbuttらのコラゲナーゼ消化法・組織培養法にて単離したラ島集塊を得た。(2)免疫隔離膜特性;膜特性として、単独アガロース膜は免疫担当細胞は膜透過しないが免疫グロブリン・補体は透過する。一方、アガロース/PSSa膜はこれに加え第二経路を介したC3消耗能を有する。(3)in vivo異種移植実験;レシピエントは8週齢のBalb/cマウスにアロキサン投与し、随時血糖が20mM以上のとき糖尿病と判定し用いた。岩田らの方法を用い5%アガロースあるいは、5%アガロース/5%PSSaにてマイクロカプセル化ラ島を作製し、腹腔内に移植した。移植後免疫抑制剤は投与しなかった。移植後血糖値が11.1mM以下のときグラフト生着と判定した。【結果】8000個のアガロースマイクロカプセル化ラ島の平均生着期間は0日に対し、8000個のアガロース/PSSaマイクロカプセル化ラ島の平均生着期間は13日であり、有意に生着延長効果が認められた。4000個以上のアガロース/PSSaマイクロカプセル化ラ島移植群において、13匹中5匹に28日以上の長期生着が認められが、アガロース単独群では13匹全例に長期生着は認められず、有意差が認められた。 以上より、免疫隔離膜使用下での新生仔ブタラ島の長期生着のには、補体活性の制御が必要と考えられた。
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