術後の早期経腸栄養の有用性について、術後にsecond attackが起こった場合のbacterial translocation(BT)やサイトカイン反応について実験的に検討した。1)実 【方法】SDラット(n=57)を同一カロリー同窒素量の経静脈栄養(PN)群、経腸栄養(EN)群および経口自由摂取(C)群の3群に分け、さらにsecond attackの時期でそれぞれを2群に振り分け、計6群で検討した。全腹部正中切開後、各栄養投与を開始し、second attackとして1POD(SA1群)または3POD(SA3群)に2mg/kgのザイモザンを腹腔内投与した。18時間後に5X10^8個のE.coliを胃内に注入し、その4時間後に血液、肝、腸間膜リンパ節(MLN)を採取した。各臓器のBTを細菌培養で評価し、同時に組織中のIL-6濃度をELISA法で測定した。 【結果】肝の細菌数はPN、EN、Cの順にSA1群では1308、751、20(CFU/gram)SA3群では7、2、13(CFU/gram)であり、肝組織中のIL-6はSA1群で2351、1751、505(μg/g)SA3群では609、421、139(μg/g)であった。MLNにおいても類似した傾向を示した。 【考察】何れの栄養投与群でもsecond attackが術後早い時期に加わったほどBTやIL-6反応が高かったが、SA1群、SA3群内で比較すると経腸栄養はこれらを抑制していた。すなわち術後second attackは、術後早期に与えられるほど、生体に対する影響が大きいことが実験的に示唆され、経腸栄養は、これらを軽減する。したがって特にsecondattackがより重篤な結果をもたらすであろう術後早期にこそ経腸栄養を行うことが特に意義深いものと考えられた。
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