研究概要 |
CDC2にT-loop欠損型variant (CDC2ΔT:本研究計画調書ではΔCDC2と記載)を認めたことから、研究代表者らは他のCDKファミリーに同様なvariantが存在するかどうかを検討した。新鮮乳癌組織よりmRNAを抽出し、RT-PCR法にてCDK2のcDNAを増幅したところ、野生型とともにT-loop欠損型CDK2 variantがクローニングされた(CDK2ΔT:DNAデータバンク#AB 012305)。CDK2ΔTはT-loopのC末端側の一部を含む、Val163からAsp196の34基のアミノ酸を欠失していた。CDK2ΔTのC末端にHA-tagをつけ、pcDNA3 vectorに挿入し、pcDNA3-CDK2ΔT-HAプラスミドを作成した。CDK2ΔT-HAをCyclin A,Cyclin E1あるいはp21 CDK inhibitor とともにHela細胞に一過性発現させ、それぞれのタンパク質との結合を免疫沈降ーウェスタンブロット法にて解析した。CDK2ΔTはCDC2ΔTと同様、Cyclin A,Cyclin E1およびp21と共沈しなかった。これらvariantsの生物学的な意義は今のところ不明である現在、CyclinやCDK inhibitor以外のCDK 結合タンパク質との相互作用により、dominant negative として働くかどうかを検討中である。
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