研究分担者 |
玉置 知子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10172868)
竹内 雅春 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00258162)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90199373)
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20068498)
岡本 英三 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50068425)
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研究概要 |
肝硬変および門脈圧亢進症に対して,遺伝子治療の可能性を検討すべく,HVJ-リポソーム法によるリポーター遺伝子であるβ-ガラクシダーゼ(β-gal)の導入結果から,肝硬変ラットモデルに対して肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子を導入し,肝硬変における形態学的変化を検討した。また,門脈圧亢進症における側副血行路の発達に着目し,血管内皮増殖因子(VEGF)の関連性を検討した。 1. 方法(1):SDラットを用いてジメチルニトロソアミンの腹腔内注入と左腎静脈周囲静脈の郭清を行い肝内性モデルを,門脈結紮により肝前性モデルを作成した。それぞれのモデルで(1)門脈造影と門脈圧測定,(2)VEGFの発現臓器 (3)側副血行路におけるFlt1の発現について検討した。方法(2):肝硬変ラットにHGF遺伝子導入を行い,肝における形態学的変化および遺伝子導入における安全性を確認した。 2. 結果(1)門脈圧は平均200mmH_2Oと高値を示し,門脈造影で左胃静脈系の側副血行路の発達が確認された。病理学的にも傍食道静脈や食道粘膜下層の静脈拡張が認められた。肝臓および小腸では正常ラットに比し,VBGFの産生量は多く認められたが,側副血行路におけるVEGFの受容体であるFlt1は確認できなかった。側副血行路の発達についてはVEGFとの関連性は少ないと考えられた。(2)肝硬変ラットにおけるHGF遺伝子導入の結果,肝線維化が抑制され,生存率においてもHGF遺伝子導入ラットで延長が認められた。また反復投与における免疫反応がないことが確認でき,安全性と高い導入効率が確認された。 本研究成果は,日本外科学会,日本肝臓病学会,日本遺伝子治療学会,全米肝臓病学会などで発表し,Nature Medicine vol5.226.230(1999)において報告している。
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