研究概要 |
1,現在までに金属プレートと大胸筋皮弁を用いて下顎再建を行った症例数は13例である。金属プレートを用いた場合の最大の問題点は感染とプレートの圧迫による露出である。我々は、大胸筋の筋体でプレートを全周性に被覆することによりそれらの問題点を解決し、機能的にも整容的にも満足する結果が得られた。 2,下顎再建の最終目標は、下顎骨切除部での咀嚼機能の回復である。このため、多くの施設で血管柄付骨移植とインプラントの植立が行われているが、手術侵襲が大きいことが問題点である。熱処理した切除下顎骨を再移植する方法は手術侵襲が極めて少ない方法であるが、やはり感染が問題とされ現在は用いられていない。我々は、金属プレートに対して行ってきた大胸筋皮弁を用いる方法を熱処理した下顎骨に応用し再移植することを目的としている。 3.家兎に対して下顎骨の再移植を試みている段階であるが、最も困難な点が再移植した骨周囲への筋肉の移植と栄養管理であり、まだ満足な結果が得られていない。これらの問題点を解決し、臨床と同じ状況の実験モデルを作成することが現段階の課題である。 4,熱処理した骨の骨髄腔内に腸骨骨髄、顆粒状ハイドロキシアパタイトを充填し、骨再生の有無も検討中である。さらにBMPによる骨増生の可能性も今後さらに検討する予定である。これらの骨再生能力については、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月の期間毎に組織学的検索を行い、骨の再生量や再生過程を調査する予定である。
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