研究課題/領域番号 |
09671271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立小児病院(小児医療研究センター) |
研究代表者 |
四宮 貴久 国立小児病院, 小児医療研究センター・共同研究室, 室長 (30196414)
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研究分担者 |
鈴木 盛一 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 部長 (00111386)
絵野沢 伸 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 室長 (40232962)
奥山 虎之 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部奇形研究室, 室長 (40177192)
李 小康 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 研究員
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キーワード | HVJ-リポゾーム / アデノウィルスベクター / β-galactosidase / CTLA4Ig / ラット肝 / ラット心 / 臓器移植 |
研究概要 |
二種類の遺伝子導入ベクターを用いて臓器への遺伝子導入を検討した。その一つは、包埋型リポゾームの外表面に細胞融合能を有するセンダイウィルス(HVJ)の蛋白質成分をコートしたハイブリット型遺伝子導入用ベクターであるHVJ-リポゾームであり、他はアデノウィルスベクターである。まず、HVJ-リポゾームによる肝細胞への遺伝子導入法の確立を目的とし以下の研究を行った。CAGプロモーターで目的遺伝子を発現するプラスミドベクターpCAGGSに大腸菌βgalactosidase geneをサブクローンしたプラスミドpCAGGSLZを作成し、HJV-リポゾームに包埋したベクターHVJ-LZを作成した。これをラットの門脈より投与し、4日目に肝を摘出し、X-galによりβ-galactosidaseの活性染色を施行した。その結果、全肝細胞の10〜20%が活性陽性となっており、この方法による遺伝子導入が可能なことが明らかにされた。アデノウィルスを用いた遺伝子導入では、ウィルスのE1領域をCTLA4Ig遺伝子を組み換えたAxCAhCTLA4Ig(adCTLA4Ig)を用いた。CTLA4IgはヒトCTLA4の細胞外ドメインとヒトIgG_1のFc部分を結合させた融合蛋白であり、B7分子と競合的に結合し、B7-CD28からのシグナルを抑制することでT細胞の活性化を抑え、免疫反応を抑制する。ラットの心移植で手術と同時にadCTLA4Igを尾静脈より1×10^9pfu静注した。その結果、移植心の生着日数が平均24日(20〜40日、n=10)と対照群(n=6)の平均6日(6〜7日)に比較して、著明に延長させることができた。今後は、HVJ-リポゾームでは導入する遺伝子としてFasL,IL-10,TGFβなど免疫反応を抑制するcDNAを考えており、アデノウィルスではCTLA4IgcDNAの導入に加えて、免疫抑制剤を併用することによる移植免疫寛容の誘導を検討していく。
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