研究課題/領域番号 |
09671274
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 講師 (20192106)
|
研究分担者 |
田村 真理 東北大学, 医学部, 教授 (20124604)
織井 崇 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20282048)
土井 秀之 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (90188839)
佐山 淳造 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60292322)
宮崎 修吉 東北大学, 医学部, 教授 (50282075)
|
キーワード | 侵襲 / ステロイド / カテコールアミン / IL-6 / IL-8 / G-CSF / マクロファージ |
研究概要 |
侵襲軽減を目的としたステロイドの侵襲前投与の効果について、臨床的、基礎的に研究をすすめた。臨床的には、ステロイド(methylprednisolone:MP)を手術開始1時間前・前投薬とともに250mg/body1回投与にて投与することによって 水分出納の変化が少なく安定し、呼吸循環動態が著明に安定し、侵襲ホルモンである尿中のカテコールアミン排泄量は著明に減少する。窒素出納も良好で、rapid turnover proteinの低下が少なく、回復が早い。また、IL-6・IL-8・G-CSFなどのサイトカインの過剰産生が軽減し、胸腔ドレーン中のTNF・IL-1の排泄も少なく、IL-6は、50pg/ml(非使用群:200pg/ml)で大体胃切除術後の分泌量に相当する。実験動物を用いた基礎的検討では、マウス肝一葉切除モデルでは、1mg/マウスのMPの投与は血中・腹腔中ともに著明に減少させ、腹腔マクロファージや肺胞マクロファージの活性化を抑制し、MP1mg/マウス(ヒトで250-500mgに相当)、30分-1時間前の投与が最も効果的であり、侵襲が加わった後では効果がみられなかった。また、ステロイドは、前投与すると侵襲局所ばかりでなく、肺、肝、膵、皮膚などの遠隔臓器の水分漏出が少なく、サードスペイスを縮小させる。さらに、腹腔マクロファージを経時的に観察すると侵襲直後に腹腔内は減少し、創部(肝離断面)に集積すること、マクロファージをdepletionすると侵襲反応が軽減される。侵襲反応の形成には、侵襲局所へのマクロファージの集積が重要であり、ステロイドの効果は、この集積を抑制すること、MIF(Macrophage migration inhibitory factor)は関与していないことなどが明らかになった。
|