細菌性スーパー抗原の一つである黄色ブドウ球菌毒素(SEA)はMHCクラスII分子と結合して特定の高いTCRVβ鎖を持つT細胞を活性化するが、クラスII発現の高い組織に集積して全身の過剰なサイトカイン産生をもたらしショックを起こす可能性がある。今回、この副作用を軽減するため、遺伝子工学的に大腸菌を用いてSEAのクラスII結合部位に変異を導入したSEA D227Aを作成し、その免疫賦活能について検討した。先ずclassII陽性であるIC-2刺激CAK細胞とSEA D227親和性をFACScanで解析した。次いでヒト末梢血単核球(PBMC)にSEA D227を添加して48時間後のコロニー数を計測した。CAKをSEA D227Aで6時間刺激し、胆管癌細胞(TFK-1)に対するキラー活性をMTSassayで測定した。また、TFK-1に高率に発現するMOC1に対するmoAbであるMOSEIIとSEA D227Aを化学的にconjugateしたfusion proteinを作製し、in vitro υ fusion proteinによってPBMCおよびLAKの7FK-1に対するキラー活性が増加するかを測定した。その結果、(1)SEA D227Aは、wild typeに比べclassII陽性細胞との親和性の着明な低下を認めた。(2)PBMCにSEA D227を添加すると、コロニーの形成が促進された。(3)SEA D227Aで前刺激するとLAKのin Vitroでのキラー活性が増強した。(4)fusion proteinによってPBMCおよびLAK細胞のIFK-1に対するキラー活性は濃度依存性に増強した。以上よりSEA D227Aは副作用が少なく、かつ有効な抗腫瘍効果をもつ免疫賦倍剤となりうる。
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