研究課題/領域番号 |
09671277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 正徳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70206530)
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研究分担者 |
遠藤 公人 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70292315)
海野 倫明 東北大学, 医学部, 助手 (70282043)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 胆管癌 / 養子免疫療法 / SEA / MUSE-11 / MUC1 / scFv |
研究概要 |
外科的治療が困難な高度進行胆管癌症例に対する治療成績の向上をめざして、LAK細胞を用いた養子免疫療法の基礎的研究を行った。腺癌関連抗原であるMUClを認識するマウス抗体MUSE 11 IgGとスーパー抗原Staphylococcal enterotoxin A(SEA)とを化学的に合成したSEA-IgGをLAK細胞に併用して、MUCl陽性胆管癌細胞株TFK-1に対する抗腫瘍効果をin vitroおよびSCID担癌マウスを用いたin vivo治療モデルにて著明な抗腫瘍効果が得られた。 このSEA-IgGを臨床応用するためには作製の煩雑性、低収量、ヒトに対する高免疫性などを解決しなければならず、このため、より低分子の機能性抗体断片である一本鎖抗体(以下scFv)に注目して、SEAとMUSE 11 scFvを融合したSEA-scFvの大腸菌での作製を検討した。大腸菌にて作製したMUSE 11 scFvおよびSEAの結合能をFACSにて確認した後、SEAの遺伝子とscFvの遺伝子を連結して大腸菌にて発現させた。まずSEA-scFvの発現を確認した後、ほぼ単一に精製を行った。精製したSEA-scFvはTFK-1およびLAK細胞の両者の結合活性を有していた。 SEA-scFvの機能解析として、SEA-IgGとの細胞傷害性試験の比較検討を行い、LAK細胞単独では約20%の細胞傷害活性であったものが、濃度依存性に細胞傷害性が上昇して、0.5μg/mlでは両融合蛋白とも約80%の細胞傷害活性を示しる。さらに標的細胞をMUCl陰性株HT-17へ変更してその特異性を証明した。 SEA-scFv単独投与にて細胞への毒性は否定された。さらに抗SEA抗体およびNUSEllによる抑制試験では、scFvのIgGに比較した結合活性の低さからMUSE11での抑制効果が低くなった。 結果として、大腸菌を用いたSEA-scFvの作製に成功し、SEA-IgGと同様十分な抗腫瘍効果を示し、またその特異性も証明された。本研究は胆管癌だけでなくMUC1陽性の様々な腺癌に対する特異的な免疫療法としてより臨床応用に近づいたものといえる。
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