研究概要 |
(1) アドレアマイシン(ADM)肝動注後の肝組織及び静脈血におけるADMの濃度の推移 非担癌犬にADM lmg/kgをone shot動注し、動注前、5分接、10分後、l5分後、20分後、25分後、30分後、45分後と経時的に、肝組織、下大静脈血中の,ADM濃度をHPLC法にて測定した。(結果)(a)肝組織においては、ADM濃度は、動注後5〜10分後後に最高値を示しその後速やかに低下したが、25〜30分後に僅かであるが再上昇を示した。(b)ADMの血中濃度はやはり5〜10分後に最高値を示したが、その後は経時的に低下した。 (2) グルタチオン(以下GSH)濃度および分画の変化 ADM lmg/kgをone shot門脈内投与した犬の肝組繊をを対象に、上記Time Scheduleで肝組織を採取し、肝組織におけるGSHの分画、濃度を検索した。(結果)15後以降還元型GSHが上昇し、その上昇の稈度によりTotal GSHは様々な変化を示し、一定の傾向は得られなかった。 (3) GSH門脈内投与投与による腫瘍、肝組織、静脈血ADM濃度の変化 家兎肝癌モデル(VX2腫瘍を肝に移植したもの)を対象に,肝動脈からADMをlmg/kg one shotで投与し,同時に門脈内へGSH製剤を投与したGl(+)群と非投与のGl(-)群における,腫瘍組繊および肝組織および静脈血におけるADMの濃度を上記と同様のScheduleで経時的に測定した。(結果)(1)腫瘍におけるADM濃度はGl(+)、Gl(-)のいずれの群ADM動注後ほぼ同様な値を示し5〜10分後最高値を示した。(2)Gl(-)群で肝組織におけるADM濃度はGl(+)群に比して高い傾向を示した。(3)静脈血におけるADM濃度は、Gl(+)群、Gl(-)群の間にほとんど差は見られなかった。
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