研究概要 |
1。 昨年度、当科でヌードマウスに継代中のヒト胃MT-2,-5,大腸癌株TK-4,-13の同所移植(大腸癌,内分泌腫瘍;盲腸縫着、胃癌;胃壁縫着)による肝転移モデルを作製し、これらの癌株の腫瘍組織におけるVEGFmRNAの発現と組織中VEGFの定量をおこない,いずれの腫瘍においてもVEGF mRNA,VEGFproteinが産生されていることが明らかとなった. 2。 VEGF中和抗体100μg/mouse隔日投与により,MT-2-5,TK-4,-13いずれの腫瘍に対しても有意な腫瘍増殖抑制効果および肝転移抑制効果が観察されVEGF投与による副作用を体重変化,脾重量で評価したが,対照群との間に全くに差を認めなかった.(Int.J.Cancer,1998) 3. VEGF中和抗体100μg/mouse隔日投与により,消化器原発内分泌悪性腫瘍の有意な腫瘍増殖抑制効果および肝転移抑制効果が認められた.(Jpn.J.Cancer Res.1998) 4. VEGF中和抗体投与により,腫瘍血管新生の抑制が免疫組織染色により確認され、さらに腫瘍細胞のアポトーシスの誘導が認められ、このことがVEGF中和抗体の作用機序であることを見いだした。(Jpn.J.Cancer Rcs,in press) 5. VEGF中和抗体と抗癌剤との併用により、腫瘍の成育および転移が著明に抑制されることが明らかとなった。このことは従来の癌治療と抗血管新生療法との併用療法の有用性を示す結果であり、臨床応用に際し、有用な知見である。(in preparation)
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