研究課題/領域番号 |
09671297
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠井 保志 名古屋大学, 医学部, 助手 (10273244)
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研究分担者 |
伊藤 勝基 名古屋大学, 医学部, 講師 (90184647)
秋山 清次 名古屋大学, 医学部, 助手 (40202551)
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キーワード | ピリミヂン系抗癌剤 / 5-fluorouracil / thymidylate synthase (TS) / dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) / PCR |
研究概要 |
研究実績の概要 5-fluorouracil(5-Fu)などのフッ化ピリミヂン系抗癌剤の有効性や感受性を予測するために、その標的酵素であるthymidylate synthase(TS)および主たる代謝酵素であるdihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)の定量化を試みた。 1. 進行胃癌患者21例を対象として化学療法前に癌組織より検体を採取し、competitivePCR法によりTSおよびDPDのmRNA値を定量化した。結果は、50%以上の縮小率を示した有効例は無効例に比較して、TSおよびDPDのmRNA値は有意に低値であった。また、TSmRNA高値例は低値例に比べて予後は不良な傾向が認められた。 2. 胃癌切除例を対象としてthymidylate synthase(TS)に対するポリクローナル抗体を用いて免疫組織染色を行った。1989から1997年までの胃癌切除例76例(分化型34例、低分化型42例)を、抗TSポリクローナル抗体を用いたABC法による免疫組織染色にて、その予後を検討した。染色程度により4段階(-、士、1+、2+)に分類したところ、分化型・低分化型いづれも、強陽性(2+)例はその予後は有意に不良であった。また、分化型では染色程度に比例して予後は不良であり、TS発現増強と予後不良との関連が示された。 以上より、TSおよびDPDのフッ化ピリミヂン系抗癌剤の代謝関連酵素を定量化することは、その効果および予後を反映し、制癌剤の適正治療への有用な指標となると考えられ、臨床的にも意義あることであった。
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