研究概要 |
1)我々はすでに独自のプライマー及び増幅条件を用いたRT-PCRにより、末梢血中肝癌細胞をAFPmRNA,末梢血中膵癌、胃癌細胞をCEAmRNAで,さらに末梢血中大腸癌細胞をサイトケラチン20mRNAの形で捕らえてきた。今回、肝癌では末梢血中この血中にAFP蛋白陽性の細胞が検出される事を見いだした。さらに、それぞれAFPmRNA、CEAmRNA,Cytokeratin mRNA陽性率と再発率との相関が高いことが明らかとなった。現在症例の予後を追跡中である。 2)食道癌においては新たにSCCmRNAによる検出法を独自に開発した。食道癌におけるSCCmRNAの検出感度は10mlに10個の癌細胞であった(1/10^6)。術前血中癌細胞の検出は14例中4例にSCCmRNAが陽性で,このうち術前陰性2例および術前陽性1例において術中にSCCmRNAが陽性となった。切除後は3例とも血中SCCmRNAは陰性化した。無再発生存中の15例および、健常者15例では血中SCCmRNAは検出されなかった。一方,遠隔転移合併例では5例中2例にSCCmRNAが陽性であったが,1例は5Fu2000mg投与後に陰性化した。現在さらに症例を積み重ね、陽性と再発の関係、再発の早期発見への応用、化学療法により血中SCCmRNAのコントロールが可能であるかを検討中である。まだ世界でだれも行っておらず、その意義は大きい。
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