研究概要 |
申請者らは、GastrointestinalStromalTumor(GIST)を形態学的に検索し,免疫組織学的にもGISTは消化管のペースメーカー細胞であるCajal細胞に類似していることを示した。次に,GIST症例をProspectiveに6例集め,そのc-kit遺伝子解析を行い,内5例にエクソン11のmutationを認めた。このmutatedc-kitgeneを培養細胞にtransfectionして機能解析を行い,このmutationがgain-of-functionmutationであることを確認した。(Hirotaetal.Science1998)。さらに,MultipleGISTの多発する家系の一族の方のご協力を得,家系解析し,この家系でMultipleGISTを発症した人にはc-kit遺伝子のgermlinemutationが起こっていることを確認した。また,このmutationの機能解析を行い.gain-of-functionmutationであることも確認した(Nishidaetal.NatureGenetics1998)。これに引き続き,150例のGIST症例を集め、免疫組織染色により細胞分化マーカー(c-kit,Vimentin,desmin,α-smoothmuscleactin,S-100,CD34)の発現状況を検索し、約85%の腫瘍がKIT蛋白を発現しており,124例がGISTsと診断された。内.71例にc-kit遺伝子のエクソン11にmutationを認め,遺伝子異常はエクソン11のCodon550-560の間に集中していた。これら124例のGISTsを臨床的に検索すると,c-kit遺伝子の異常を伴うGISTはこれを伴わないGISTに比較し,高年齢で発症し,腫瘍サイズも大きく,周辺臓器への浸潤の頻度が高かった。組織学的には,腫瘍細胞の分裂像を高頻度で認め,組織学的壊死や出血像も頻度が高く,従来悪性と考えられていたGISTにc-kit遺伝子の異常が高頻度に観察された,術後の再発や予後を検討すると,再発予後ともc-kit遺伝子の異常を伴うGISTはこれを伴わないGISTに比較し.高頻度で再発し予後は不良であった。コックス法にて多変量解析しても,c-kit遺伝子の異常は重要な再発予後危険因子であることが示された。
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