研究概要 |
当科において継代維持されているヌードマウス可移植ヒト胃癌株3株について、以下の様な知見が得られた。 まず、ヌードマウスの背部にヒト胃癌株3株を移植し、推定腫瘍重量が100mgになった時点から代表的な抗血管新生因子を2週間連日経口投与した(thalidomide 200mg/kg、Batimastat 40mg/kg)。腫瘍増殖曲線では、いずれの薬剤においても、いずれの腫瘍株においても抑制効果は認められなかった。 次に、腫瘍が明かに増殖してからの投与では無効なのか検討する目的で、ヌードマウスの背部にヒト胃癌株3株を移植し、直ちに上記の抗血管新生因子を投与してみた。しかしながら結果はやはり同じで、腫瘍増殖抑制効果はなかった。以上の結果より我々の用いた抗血管新生因子は、少なくとも我々の用いたヒト胃癌株3株には無効であった。 現在のところ、腫瘍の産生する血管新生因子を免疫組織学的手法を用いて、VEGF,basic FGF,thymidine phosphorylaseについて検討中である。また投与期間についても2週間では短い可能性があると思われ、さらなる長期投与実験を行っている。 抗エストロゲンで、同時に抗VEGF作用をもつ薬剤ICI182,780の投与実験については、免疫組織学的染色の結果を待って行う予定である。
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