研究課題/領域番号 |
09671315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小林 展章 愛媛大学, 医学部, 教授 (60135564)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学部・附属病院, 助手 (30253298)
串畑 史樹 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (70284396)
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キーワード | ラット小腸移植 / 胆汁酸代謝 / 門脈-門脈吻合 / 門脈-下大静脈吻合 / 同所性全小腸移植 / グラフト機能 |
研究概要 |
【目的】小腸移植後のグラフトの吸収機能を胆汁酸代謝の面から評価するために、胆汁中及び血清中の胆汁酸分画を測定し検討を加えた。 【方法】(1)体重250〜300g雄性Lewisラットをドナー及びレシピエントとする同系同所性全小腸移植を行った。グラフトの血管系は、動脈はレシピエントの腹部大動脈に端側吻合を行い、門脈をレシピエントの門脈に端側吻合した群(P-P群)と下大動脈に端側吻合した群(P-V群)を作成した。移植腸管は空腸及び回腸を完全に置換する形で一期的に吻合した。 (2)1週間、2週間後及び4週間後に胆汁中及び血清中の胆汁酸分画(α-ミュリコール酸、β-ミュリコール酸、ウルソデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸のそれぞれ遊離型、グリシン抱合型、タウリン抱合型、合計24種類)を高速液体クロマトグラフィーで測定した。 【成績】術後体重変化は両群とも一担1週間減少したが、その間はコントロール群と同じ傾斜で増加に転じた。便の性状も各群間で差はなかった。P-P群において、胆汁流量は1、2、4週でコントロール群と差はなかったが、胆汁中、血清中総胆汁酸濃度が4週で増加した。抱合型比からみた組成では胆汁中で2週目にグリシン抱合型が増加したが、4週目にほぼコントロール値に復した。血清中には遊離型とタウリン抱合型がほぼ同じ割合に認められ有意な変動はみられなかった。一次胆汁酸と二次胆汁酸との割合では血清中で2週目、4週目に二次胆汁酸の増加傾向を認めた。P-P群とP-V群の比較では、体重変動に差はなく、血清中、胆汁中総胆汁酸濃度はP-V群がより高い値を示した。抱合型比ではP-V群で、胆汁中に遊離型を多く認めた。血清中への二次胆汁酸の増加程度もP-P群、P-V群とも同様であった。 【まとめ】胆汁中、血清中胆汁酸濃度は、P-P群、P-V群ともに増加しており、血清中2次胆汁酸がP-P群で4週目に最も増加していた。胆汁酸代謝からみた小腸グラフトの吸収機能は、同種同系小腸移植後では早期より保たれていると思われた。
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