【目的】直腸癌低位前方切除術におけるstraight型結腸肛門(管)吻合術(straight 型)後の排便障害を軽減する目的で、下行結腸と残存肛門(管)との間に、ileocecal segmentをinterpositionするpouch手術(IIP型)を行い、その有用性を検討した。【対象と方法】IIP型8例とstraight 型19例を臨床像と排便機能((1)排便回数、(2)SITZMARKS^<( )CPO(1)R〔 )>によるcolonic transit time、(3)manometric study)について比較検討した。【結果】臨床病理学的因子・手術合併症については差を認めなかった。術後1/3/6/12/24月での排便回数は、IIP型では平均9.3/6.3/5.1/4.7/3.9(回/日)、straight 型では平均12.2/8.3/6.0/5.2/4.8と、IIP型の方が少ない傾向を示した。SITZMARKS^<( )CPO(1)R〔 )>によるco1onic transit timeでは、半量排出時間がIIP型では31.2±17.6(平均±SD)時間、straight 型では61.9±38.8、健常成人では28.8±9.5と、IIP型は健常人に極めて近い値を示した。manometric studyでは両者に差を認めなかった。【結晶】直腸癌低位前方切除術におけるIIPによる再建術の特徴は、(1)pouchへのnerve supplyが温存される、(2)左側結腸の授動が不必要、(3)十分な長さのS状結腸が不必要、(4)pouch wallがintact、(5)diverting colostomyが不必要であり、従来行われてきたcolonic J-pouchの不利な点を示さない有用なpouch手術である。
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