研究概要 |
1)UUAGGGの3回繰り返し配列RNAを発現するリコンビナント・アデノウイルスベクターの作製 5'TTAGGG3'の3回繰り返し配列をpAdE1CMV(pXCJL.1にCMVプロモーター、マルチクローニングサイト、SV40ポリAシグナルからなる発現カセットを組み込んだシャトルベクター)に挿入した。このアンチセンスベクターとpJM17(adenovirus5型ゲノムをもつ)をアデノウイルスE1aを発現している293細胞(ヒト胎児腎臓細胞)にリポフェクションによりco-transfectした。アンチセンスベクターとpJM17との間の相同組み換えによる組み換えウイルスをPCRによってスクリーニングした後、目的のウイルスをプラーク・アッセイによってクローニングした。塩化セシウム密度勾配遠心により精製したウイルスを以下の実験に用いた。(以下このウイルスをanti-tel-ADウイルスと呼ぶ) 2)anti-tel-ADウイルスの胃癌培養細胞株のin vitroでの増殖におよぼす影響 ヒト胃癌培養細胞株(MKN-28,KKLS,AGS)の3株を用い、β-galactosidase発現アデノウイルスベクターにより検討したウイルス量にしたがってanti-tel-ADウイルスを投与して増殖実験を行った。アッセイは96wellのプレートを用い、各wellに2500個の細胞をまき、2%FBSでover night培養後ウイルス投与し1%FBSにて7日培養してクリスタルバイオレット法により細胞数を計測した。その結果コントロール群に対してanti-tel-ADウイルス投与群では、MKN28では24.7%、KKLSでは54.7%、AGSでは41.2%の増殖抑制効果を認めた。
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