研究分担者 |
曳野 肇 自治医科大学, 医学部, 助手 (60296126)
竹田津 文俊 自治医科大学, 医学部, 講師 (90254937)
黒木 昌寿 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90215096)
川上 正舒 自治医科大学, 医学部, 教授 (40161286)
宮田 道夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048976)
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研究概要 |
これまでの検討し得た項目は,低転移性のER-1細胞とER-1細胞から得られた高転移性のERpP-1細胞,ERpP-2細胞,ERpP-3細胞の性質,およびSHRラットに移植した組織の性質を中心に検討した. それぞれの培養細胞の固定免疫染色と移植巣,転移病巣の免疫染色によるTGF-βの発現をみると,TGF-β1,β2,β3共に発現していた.また培養上清中のTGF-β1濃度も細胞数の増加と共に上昇し,これらの細胞がTGF-βを産生しているものと考えられた. これら自己分泌されるTGF-βが,各細胞の増殖等にどのような影響を及ぼすかを調べるためにTGF-βI型II型受容体の免疫染色を行ったところ,ER-1細胞では発現しているが,ERpP-1,ERpP-2,ERpP-3細胞では受容体の発現は弱かった.また移植組織,転移組織の免疫染色ではいずれも発現が弱かった.現在ノザンブロッティングにて検討中である. さらにTGF-β1および可溶性TGF-βII型受容体添加による細胞増殖の変化を調べたところ,TGF-βにはERpP-2細胞でのみTGF-β1による増殖抑制が,可溶性TGF-βII型受容体添加ではERpP-3細胞で逆に増殖抑制が見られるなど,各細胞間で複雑な反応をしめした. 次いでVEGFとの関与について同じ検体を用い免疫染色を行ったところ,程度の差はあるもののそれぞれで発現を認め,培養上清中のVEGF濃度も細胞数に応じて上昇していた.転移性の差異との関連について,ノザンブロティングにて検討中である. これらの細胞の転移能の有無に,TGF-βが複雑に関与している可能性が考えられるが,なおその他の因子の解析も必要である.
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