研究概要 |
癌細胞の増殖に関与するEGFR、血管増殖因子であるbFGF、細胞外マトリックス分解酵素であるCollagenase(Col)、細胞外接着因子であるE-cadherin(ECD)を選択し、これらの発現と転移予後との関係を検討した。 深達度がse、ssである進行胃癌25例(分化型12例、未分化型13例)。観察期間は5年とし、再発症例と手術時転移症例を転移/再発群10例、非転移/非再発例15例とした。方法はBiotin化したEGFR,bFGF,Col,ECDのProbeを用いてin situ hybridizationを行った。各Probeの発現強度はLuzex-FS画像解析装置により、poly dT probeにより評価される細胞内の総mRNAを100とし、各ProbeのmRNA発現強度を求めた。 1、EGFRとbFGF、bFGFとColの発現に強い正の相関が、EGFRとECDの発現では逆相関を認めた。 2、EGFR>bFGF>ECD>Colの順で再発死亡に関与していた。これらEGFR、bFGF、ECDの発現強度を比例ハザードをもってscore化するとscoreが10以上では60%の症例で再発していた。 3、癌浸潤に関与するColとECDの比(C/E比)を検討するとA群 : 1.4、B群 : 0.9であり、C/E比が1以上では11例中9例(82%)が再発死亡していた。 EGFR、bFGF、ECD、ColのmRNA発現は特定の遺伝子間に発現の関係を認めた。また、それぞれが転移予後に関与するが、総合評価、C/E比ではさらに転移、予後と密接な関係が認められた。 この一部についてはEuropean Journal of Cancerに掲載予定である。
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