研究概要 |
前年度に続きさらに対象症例を増やして進行胃癌63例を対象とし、細胞外マトリックス分解酵素であるMMP2(matrix metalloproteinase 2)、細胞外接着因子であるECD(E-cadherin)について、再発死亡との関連を検討した。 1、 総合的進行程度別の再発死亡例のE-cadherin mRNAの発現は生存例に比べて低い傾向を認めた。生存例の発現平均値は49.0±19.2(mean±SD)であり、死亡症例の37.0±16.2に比べて有意に高値であった(p=0.011)。 2、 生存症例のMMP2mRNA発現の平均値は39.4±17.4(mean±SD)、死亡症例では45.2±22.0であり、統計学的有意差はなかった。 3、 癌浸潤に関与するMMP2とECDの比(M/E比)を検討した。総合的進行程度との関係では、StageIb:1.03±0.34、StageII:0.96±0.36、StageIIIa:1.09±0.42、StageIIIb:1.19±0.54、StageIVa,b:1.62±1.34であり、総合的進行程度とともにM/E比が高くなる傾向を認めた。またM/E比の死亡症例の平均値は1.37±0.63であり生存症例の0.86±0.13にくらべて有意に高値を示した(p<0.001)。 VEGF、IL8の発現について検討を行ったが、ともにmRNAの発現が不良であり、評価の対象とはなり得なかった。
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