研究課題/領域番号 |
09671334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
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研究分担者 |
飯野 善一郎 北里大学, 医学部, 助手 (90222827)
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
泉家 久直 北里大学, 医学部, 助手 (30193379)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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キーワード | 肝膵同時切除 / 肝膵臓器相関 / 肝再生 / 手術侵襲 / 耐術能 / 膵ホルモン / 肝不全 / サイトカイン |
研究概要 |
肝膵同時切除の耐術能と手術侵襲の定量化、肝不全への予後予測因子などを実験的に検討した。また、肝再生と膵の臓器相関について門脈血中の膵ホルモンも実験的に調べた。侵襲の定量化としてサイトカインや急性相蛋白の術後変動を検討した。 イヌを用いた肝膵同時切除の実験では、肝切除のみでは術後の死亡はなかったが、肝膵同時切除をすると死亡率が増した。術中循環動態や膵内分泌機能に各実験群間および生存、死亡の間に有意な差はなかった。肝不全で死亡した例では肝不全の直前で血中IL-6の値が急上昇し、死亡するまで高値が続いたが、非肝不全例では各群とも大きな変化はなく、手術時間や臓器の切除量に関係がなかった。 肝再生率をみると肝切除のみに比較し、膵切除の量が大きくなればなるほど肝再生率は減少する傾向にあった。再生肝の肝機能はAlb産生では各群とも約70%まで有意差なく回復した。ICGのR15は群を問わず殆どの例で悪化していた。しかし悪化程度は軽度であり群間に有意差は認められなかった。 術後の門脈血中の膵ホルモンをみると、各群ともインスリンは低下し、グルカゴンは上昇した。インスリンでは各群間に程度の差はなかったが、グルカゴンは有意に膵切除群が高かった。これら膵ホルモンや膵機能と肝再生率との関係を調べたところ、術後3日目と7日のグルカゴン/インスリン比と肝再生率に負の相関がみられた。肝再生促進因子であるTGF-αはI群とII群に差はなく、肝再生率とも相関はなかった。現在、Ki67染色やMitotic in dexなどで肝再生状態をミクロのレベルで検討中であるが、少なくとも肝重量からみる限り、肝再生には膵ホルモン、特にインスリンとグルカゴンの存在と両者のバランスが強く関与しているものと考えられた。
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