研究課題/領域番号 |
09671334
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
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研究分担者 |
飯野 善一郎 北里大学, 医学部, 助手 (90222827)
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
泉家 久直 北里大学, 医学部, 助手 (30193379)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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キーワード | 肝膵同時切除 / 肝膵臓器相関 / 肝再生 / 手術侵襲 / 進行胆のう癌 / HPD / 肝再発 |
研究概要 |
本研究では、肝膵同時切除の耐術能の予測、安全手術限界について、1)肝膵同時切除における病態の特徴、2)膵ホルモンの肝再生への関与などの臓器相関、の2つの観点から実験的、臨床的に検討している。これまでの研究成果については既に報告しているが、この数年来実験的にイヌを用い、肝切除単独群とそれに膵切除を加えた群について生存率や肝機能の推移、サイトカインなどの侵襲因子について比較検討してきた。 今年度は、臨床的な検討として肝膵同時切除を適応する可能性の高い進行胆嚢癌における肝切除の意義と至摘切除範囲について、術後に肝に再発した症例を検討した。肝再発形式は肝床部周囲に再発した限局型と肝内にび漫性にみられる多発型とに大別された。前者はhw陽性からの再発、あるいは胆嚢表面から肝表面へのリンパ管を介する再発が考えられ、その予防は十分な切除断端をとることにある。術式別にみるとS4下5切除術では限局型肝再発は全くないこと、ssγ以上の肝床切除例でS5、S4に再発することが多いことから、術後肝再発の予防という観点からは、S4下5切除術がssγ以上の進行胆嚢癌の肝切除の標準と考えられる。一方、多発型再発は門脈を介するものと思われ、初回の肝切除範囲に関係なく再発していた。この再発形式は肝切除のみでは予防できないと考えられ、術後の集学的治療を加える必要がある。ssγ以上では肝再発だけではなく、高度のリンパ節再発、局所再発もみられ、まさにここにHPD、肝膵同時切除の意義があると思われた。特にss癌での予後を治癒切除、非治癒切除別にみると、ssγ癌では両者に差がみられ、肝膵同時切除はssγ癌に対する手術として最も期待できる。今後もこの点に着目し、その限界について基礎的、臨床的検討を続ける予定である。
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