研究概要 |
研究目的:小腸移植後の拒絶反応は,他臓器の移植に比べ著しく強く,その結果生着率の向上を阻んでいる。したがって,既存の免疫抑制剤に代わるあるいはそれらとの併用による新しい治療薬の出現が期待されている。1991年頃より,新免疫抑制剤としてRS-61443(mycophenolic acid)が,同種異系間の心や腎の,あるいは異種間の心や肝移植で実験的におこなわれ,良好な成績を納めてきた。未だ小腸移植では,同薬の効果を検討する実験はおこなわれておらず,今回,単独またはlow dose FK506との併用療法により,移植後拒絶反応を抑制するかどうか検討する。 研究実施計画:inbred male ACI rats(200-300g)をドナーに,LEW rats(200-300g)をレシピエントに用い,control group,low dose FK506単独group,RS-61443単独投与群のpreliminary studyを施行している。現在,各群につき1;体重減少,下痢の程度および生存率を経過観察する群(体重測定および下痢の観察は,術後2週毎日おこない,その後週2回の頻度でもおこなっている。また,明らかに死亡直前例は,その場にてsacrificeをおこない,graftも含めた各臓器の標本を摘出し,ホルマリン固定および-80℃保存をおこない,HE染色とポリアミン測定用に保存している。ポリアミン合成系の測定により,移植小腸片における拒絶反応の強弱を定量的に表現し,薬剤効果の指標の一つとして,客観的に評価する予定である。さらに今後,low dose FK506とRS-61443の両薬によるconbination therapy群の実験も施行していく。
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