研究概要 |
平成9、10年度に実施したマウスの同系腫瘍特異的CTLのType1/Type2サイトカイン産生とTCRVb鎖との関係を調べた研究にてTCRVb8陽性CTLはType1サイトカインを産生しin vivoにて細胞障害活性を示したがTCRVb3,5,7,9,11陽性リンパ球はType2サイトカインを産生しin vivoでの抗腫瘍効果を示さなかった。平成11年度はヒト消化器癌患者の自己リンパ球と自己腫瘍との混合培養により誘導した活性化リンパ球のTCRVb鎖の発現とType1/Type2サイトカインの産生パターンを検討したところ、種々のTCRVb鎖を有するリンパ球が活性化され、Type1/Type2サイトカインとの明らかな相関は比較が困難であった。そのため、単一のTCRVb鎖を有するクローンを作成して、そのTCRVb鎖とサイトカイン産生パターンを比較検討する研究を進めたが、特異的CTLクローンの誘導に自己癌細胞での刺激では十分でなくクローンの作成が困難であったため、自己癌細胞の代わりに癌抗原ペプチド提示自己樹状細胞を用いた刺激培養系を検討した。消化器癌で高度に異常発現が認められるCEA,MAGE-3,MUC1抗原のアミノ酸配列をもとに抗原ペプチドを合成し、消化器癌患者のHLAをタイピングして各HLAに結合する抗原ペプチドを用いて患者リンパ球を刺激培養することにより効率良く抗原特異的CTLが誘導されることが確認された。現在その培養方法を用いてCTLのクローニングを試みている。次年度中に作成された各クローンのTCRVb鎖の検索とType1/Type2サイトカイン産生パターンの関係を明らかにすべく研究を進めている。
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