1、ヒト消化器癌に高率に異常発現を認める癌抗原として、CEA、MUC1、MAGE-3抗原の合成ペプチドをそれぞれのアミノ酸配列をもとに合成し、樹状細胞にパルスして提示させてリンパ球と混合培養することにより癌抗原特異的CTLが誘導された。このCTLは癌抗原特異的細胞障害活性を示し、IFNγを優位に産生するType1 CTLであった。合成ペプチド提示樹状細胞にて誘導したCTLは多種のTCR Vβレパトアから成るポリクローナルな細胞集団であったが、刺激ペプチドにより異なったTCR Vβレパトア群が優位に増加しており、それぞれの癌抗原ペプチドに特異的に反応するTCR Vβレパトア群が特異的に活性化され増殖している可能性が示唆された。 2、合成CEA、MUC1、MAGE-3抗原ペプチドを提示させた樹状細胞を樹状細胞ワクチンとして接種した患者において、末梢血リンパ球のTCR Vβレパトアのポピュレーションの変化を解析した。それぞれの合成癌抗原ペプチドに特異的に反応すると推測されるTCR Vβレパトア群がワクチン接種後に優位に増加しており、樹状細胞ワクチン接種後に癌抗原特異的細胞障害活性及びIFNγ産生が増強することを確認した。これらの増加したTCR Vβ群がどのように癌抗原ペプチドを認識して免疫応答を引き起こすのかは詳細については今後さらなる研究が必要とされる。
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