研究課題
大腸癌の肝転移の分子機構解明のため接着分子に着目し研究重ね、平成2〜7年度はラミニン、インテグリン、NCAM(神経接着分子)を検討してきた。平成9年度はビトロネクチン、E-カドヘリンなど中心に行い、平成10年度は尿中に検出されるコラーゲン代謝産物であるGGH(glucosyl-galactosyl-hydroxylysine)の定量化を開発、臨床測定してみた(共同研究施設:東京農工大およびニッピバイオマトリックス研究所)。これはtypeIV collagenに由来し、細胞外マトリックス基質破壊など転移巣の代謝状態を反映すると考えられるアミノ酸代謝物質である。その尿中排泄レベルをイオン交換樹脂で塩基性アミノ酸を濃縮後、アミノ酸分析計にて測定した。その結果コントロール群(38例)のGGH/Cre11.49±2.94nmol/mgに対し、非肝転移群(81例)11.95±5.91nmol/mg、肝転移群(19例)17.31±4.72nmol/mgと肝転移群に高値を示した。現在さらに症例を集積し転移予知や化学療法の評価に役立つマーカーとしての意義を検討中であり、尿という簡便な検体採取であることからも今後の臨床応用や発展が期待される。
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