研究概要 |
(1)CCA-l糖鎖構造の決定:CCA-lを産生するLK52細胞を大量培養を行い中性糖脂質を抽出した.さらに抗CCA-l抗体FSO1を用いてCCA-1の血液凝固に関連する糖鎖を精製し,ピリジルアミノ化して糖組成を決定した.その結果FSOl抗体はフコース,ガラクトース,Nアセチルグルコサミン,グルコースを構成糖とする糖脂質を認識していた.また精製糖鎖をNMR測定にかけ,得られた2種類の糖鎖の立体構造の先端部分はルイスY型糖鎖(Le^v)と同じ構造であった。 (2)CCA-l糖鎖の役割:CCA-lを分離してゆく過程でブチルトヨパールカラムで糖鎖部分CCA-lcと蛋白部分CCA-lcに分離が可能であり,分離によって凝固活性はほとんど消失した.このCCA-lcにイヌ小腸から抽出精製したLe^v糖脂質を結合する事で凝固活性は再現されかつFSOl抗体によりその凝固活性は抑制された.異常からCCA-1の凝固活性に関連する糖鎖はのLe^y糖脂質でありCCA-1のco-factorとして働くことが明らかになった. (3)CCA-l蛋白の存在:ヒト正常細胞,ヒト癌細胞,及びマウスやサル由来細胞の細胞膜画分にLe^y糖脂質を結合させた結果すべての細胞で血液凝固活性が上昇した.CCA-l蛋白は生体細胞のほとんどに存在し,凝固活性の調節はLe^v糖脂質の発現によることが明らかになった. (4)癌細胞におけるCCA-lの役割:乳癌細胞ではCCA-lは組織因子やHLA-DRと比較して高率に発現し凝固活性の多くを担っていることが示された.また,乳癌原発巣におけるLe^y糖脂質の発現は予後と相関することが明らかになり,これはLe^y糖脂質がCCA-l活性を通じて再発・転移に関連するものと思われる. (5)今後の展開:CCA-l蛋白の解析とLe^v糖脂質の結合解析を行う.
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