研究課題/領域番号 |
09671349
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉田 祥吾 久留米大学, 医学部, 助手 (30191589)
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研究分担者 |
田尻 鉄郎 久留米大学, 医学部, 助手 (10299464)
亀井 英樹 久留米大学, 医学部, 助手 (10268899)
貝原 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (20204315)
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キーワード | 手術侵襲 / オピオイド / サイトカイン / 中枢神経 |
研究概要 |
平成12年度はラット侵襲モデルでは手術侵襲の中のリンパ節廓清に伴う腹膜剥離術がTNF-a mRNAの発現量におよぼす影響について検討したが、皮膚、筋肉、腹膜を切開する開腹術に比べて脳内TNF-a mRNAの変動には差異を認めず、また、尿中窒素排泄量およびカテコールアミン排泄量にも差異を認めなかった。すなわち、皮膚、筋肉、腹膜の切開が腹膜のみの損傷に比べて脳内のサイトカインの産生量に影響を及ぼしていることが判明した。さらに、開腹術による侵襲が脳内のサイトカイン産生を亢進させる神経経路として迷走神経の関与について検討した。術前の迷走神経切断によって開腹術による脳内サイトカインの産生を抑制し得たことから、開腹による痛み刺激のみならず、肝臓からの迷走神経を介した刺激も脳内サイトカインの産生を誘導することが判明した。一方、ステロイド脳室内投与が侵襲反応におよぼす影響について検討したところ、術前脳室内ステロイド投与によって術後の脳内TNF-a mRNAの産生を抑制することが可能であること、術後の体蛋白の喪失を抑制するが、尿中カテコールアミンの分泌に関しては抑制し得なかったことが判明した。術前脳室内ステロイド投与は全身のステロイド投与に比べて、術後のリンパ球減少の程度が少なく、リンパ球の回復も早期であり、術後の免疫能の低下を抑制することも判明した。以上のことから、脳内サイトカインの制御によって術後侵襲反応が軽減され、免疫能の低下も軽減できたが、脳内サイトカインとオピオイドの関係およびカテコールアミンの分泌におよぼす影響などがさらに解明が必要な課題であると思われた。
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