研究課題/領域番号 |
09671351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 教授 (90038852)
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研究分担者 |
中山 善文 産業医科大学, 医学部, 助手 (50279337)
永田 直幹 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80200377)
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キーワード | 腫瘍血管新生 / dynamic MRI / 大腸癌 / 肝転移 / 接着分子 / Magnetic Resonance Imaging / 血管新生阻害剤 |
研究概要 |
大腸癌の予後に大きな影響を及ぼしている転移、再発のなかで、肝転移の占める割合は大きい。癌の血行性転移成立過程は複雑なものであり、これらの転移過程を調べるために、我々は、大腸癌のラット肝転移モデルにおける動物実験用MRI(SIS200/400)を使用した肝転移巣の経時的評価方法を開発、発表している。大腸癌の転移能力を調べるために、我々は、大腸癌細胞株KM12Cシリーズにおける高転移株KN12SMをin vivo selectionすることによって、更に高転移能を示す株を数種類樹立した。これらの大腸癌細胞株の細胞表面における接着分子の発現をフローサイトメトリー解析で評価したところ、更に高転移を示す株では、親株に比べ、Siaryl Lewis^aの発現増加とE-cadherinの発現減少が認められた。これは、KM12Cシリーズにおける高転移株の低転移株に対する変化と同じものであった。この結果は、学会ならびに論文で報告した。また、我々は、ラット大腸癌細胞株RCN-9を使用したラット肝転移モデルを作製し、肝転移巣の成立過程を経時的に動物実験用MRIで観察することに成功した。RCN-9(1x10^6 cell)をラットの門脈へ注入した後、4週間後から、肝転移巣が動物実験用MRIで観察された。撮影方法としては、ガドリニウム静注T1強調画像が最も適していた。また、ガドリニウム静注T1強調画像の撮影において、ガドリニウム静注後、経時的に撮影し、MRI画像解析によってdynamic MRI画像を作製した。dynamic MRI撮影では、肝転移巣は、造影後3分までに信号強度が最強となり、その後は転移巣辺縁部より徐々に減弱していった。画像解析により、これらの信号強度の変化を数値化することができた。肝転移巣に対するdynamic MRI撮影は、転移巣における血行動態が解析でき、腫瘍血管新生を評価する新しいパラメーターと成り得る可能性が示唆された。現在、これらの肝転移モデルに使用する血管新生阻害剤を検討中である。
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