研究概要 |
昨年度に続き以下の3項目について症例数を増やして検索した。 1)肝細胞癌被膜での平滑筋細胞の出現肝硬変および肝細胞癌被膜の平滑筋マーカーに関する免疫組織化学によって、後者に分布する紡錘形細胞が平滑筋としての形質を示すことを確認し、さらにデータを形態計測によって定量化しより明確にするとともに電子顕微鏡において、多量のアクチンフィラメントを含むなどの平滑筋としての特徴をもつことを観察した。症例数を11に増やし、成果をまとめて論文とした(Kojima et al.in press,1999)。2)慢性 疾患でのVEGFおよびレセプターの発現慢性肝疾患の症例数を32に増やし、昨年度得られた所見(炎症部位においてマクロファージおよび新生血管内皮にVEGFおよびレセプターの発現がみられる)を確認した。現在論文を作製中である。3)大腸癌肝転移でのVEGFおよびレセプターの発現症例数を22に増やし、VEGFおよびレセプターが転移巣周囲に強く発現することを明らかにした。血管量との関連を知る目的でCTでの造影効果の程度と免疫組織化学における染まり方を比較した結果、一部において相関性が明らかであった。本研究結果をまとめて日本肝臓学会(1998年、横浜)で発表した。今後さらに、転移性肝癌周囲においてVEGFおよびレセプターの発現している細胞を詳細に同定し、その生物学的意義についての検索を進める。
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