研究概要 |
1)Indomethacinのmodulation効果が非小細胞癌の性質を有した難治性肺小細胞癌を含めて肺癌全体に認められる普遍的な効果であるのかを検証した。肺癌細胞30 cell line(腺癌9、大細胞癌9、扁平上皮癌6,小細胞癌6)と5例の他癌細胞を対象とし、indomethacinとVCRとの併用効果をMTT法で検討した。その結果、indomethacinのVCRに対する併用効果は大細胞癌で平均3.06倍、腺癌で2.91倍、扁平上皮癌1.92倍、小細胞癌1.67倍と腺癌、大細胞癌で強いmodulation効果が認められた。2倍以上のmodulation効果を臨床上有効と考えると、腺癌、大細胞癌で100%、小細胞癌で33%、扁平上皮癌で25%が有効であった。 2)肺癌に有効な新たなmodulation薬剤を見いだし,indomethacinとの併用modulation効果を検討した。既知のmodulation薬剤の肺癌細胞株に対するmodulation効果をMTT法を用いて検討した。その結果、verapamilは有効濃度が高すぎるため実用性はなかったが、dipyridamoleは通常使用量の血中濃度0.5-1μg/ml濃度でも5-FU,VCR,MTX,VP-16,VDS,ADRに対してmodulation効果を示した。更に、indomethacinとdipyridamoleの併用による肺癌細胞に対する併用modulation効果を検討したが、両薬剤の直接混合によるVCRに対する併用相乗効果は認められなかった。 以上の平成9年度の研究成果より、indomethacinは非小細胞癌化した化療後の難治性肺小細胞癌や大細胞癌、低分化腺癌に有効なmodulation薬剤になると考えられ、本年度はdipyridamoleとの効果的な併用使用法の検討とindomethacinの作用機序を基礎的に解明する予定である。
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