研究概要 |
「脊髄虚血の定量的評価」を主テーマとして、本年度は以下の二つの研究を実施した。 1. 近赤外分光法による脊髄組織酸素動態計測用の硬膜外腔ファイバーの新型を開発した。これらの特徴は下記の通り。 (1) 広く臨床応用され,市販されている肺動脈内血液酸素飽和度測定装置に接続可能な,脊髄組織酸素動態計測用の硬膜外腔ファイバーの新型を開発した。 (2) 硬膜外腔用ファイバーは.2束の送受光用プラスティックファイバーを被覆し各々約45度の導入出角を有するように先端を加工した。 (3) 硬膜外腔用ファイバーの直径を最大2Fr(直径約0.7mm)とし、臨床で使用される硬膜外腔カテーテルよりも細径となった。 (4) 近赤外光発生装置は光送出口を汎用のものとし、他の生体組織等の計測も可能となるよう工夫した。 (5) 水中での市販の肺動脈内血液酸素飽和度測定装置のレーザー光の深達度は0.5cm以上に達する事を実験で確認した. 次に,本研究で開発した装置のfeasibilityの確認と同時に,脊髄虚血保護実験の虚血モニターとしての利用価値を評価すべく,脊髄虚血保護実験モデルを作成した.具体的には, (1) ウサギの腹部大動脈を遮断し,脊髄虚血による対麻痺の発生を確認 (2) 脊髄虚血保護薬剤としてACPC(1-amino cyclopropanecarboxy1ic acid)を選択し,本薬剤を遮断直後に大動脈内投与し脊髄虚血の保護効果を判定した (3) 病理学的に本薬剤の保護効果を判定し有効性を証明した (4) 以上の実験で制作した,脊髄虚血保護実験モデルを用い,前記モニター装置で大動脈遮断中の脊髄虚血の均一性を,現在実験中である.
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